黒木富雄窯(小鹿田焼)
大分県日田市の山あいの集落に小鹿田焼の里があります。「ぎぎぃ〜い、ごっとん!」と川の流れを利用した唐臼(からうす)の音が響き渡る自然豊かな小鹿田焼の里には、全部で10軒の窯元が建ち並んでいます。黒木富雄窯もそのうちの1軒です。
小鹿田焼は、開窯以来300年に渡って同じ技法で器が作られてきました。そんな黒木富雄窯の器は、小鹿田の土や釉薬を使い、唐臼で陶土を挽き、伝承されている集落の中心にある共同の登り窯を利用して窯焚きがされています。
小鹿田焼の代表的な技法としては、飛び鉋や刷毛目などがあります。飛び鉋は、ろくろで回した器に金属製のヘラ状の道具を当てることで跳ねるように器を削る技法です。リズムよく削られた模様はとても正確で美しく、小鹿田焼の特徴とも呼べます。これら小鹿田焼の技法は、重要無形文化財に指定されています。
今なお男子1人が窯を継承する「一子相伝」が守られている小鹿田焼。人と自然の永く深いつながりのなかで生まれる、本当にあたたかい焼きものです。
重要文化的景観でもある小鹿田焼の里
唐臼(からうす)の音が村中に響き渡る
陶土を挽いている唐臼
中心部にある共同の登り窯
伝統の技が詰まった小鹿田焼