徳田吉美
徳田吉美さんは、焼き物で有名な岐阜県多治見市の「studio MAVO」で制作をしています。
漆蒔上絵という技法を用いて描かれる徳田吉美さんの作品は、赤・青・黄・オレンジなどのハッキリとした色が特徴的。強い色はもちろん、淡い色もとても鮮やかに美しい色で描かれており、他の方法では描けない独特の色が表現されています。
また、徳田さんの作る作品の多くには、漆蒔上絵と銀彩を併用しています。銀彩を漆蒔の色付けの際に施すと、銀の作用でその部分の色が、とても深い美しい発色になっています。
以前は、多治見には多くの上絵職人がいましたが、手軽な転写機の開発により、漆蒔上絵は急速に廃れてしまいました。1度は廃れた漆蒔上絵でしたが、徳田さんが手探りで始め、長い年月を掛け数々の失敗を繰り返しながらも、見事に再生されました。
「漆蒔の歴史など何も知らず、解らないので続けていただけ。蘇らせるなどと言うつもりはまったくなく、先人達の残してくれた知恵のかたまりを、今という時代の空気の中で呼吸させてやりたいと思うだけ。」そんな思いが徳田さんの手により形になっています。貴重な漆蒔上絵で描かれた器を是非手に取ってみてください。
はっきりとした綺麗な色が漆蒔の特徴
1度は廃れた漆蒔上絵を見事に再生させました
漆蒔用の筆。乾燥させないようにするのが大事。
素焼きの様子。完全に乾いてから行います。
絵の具の粉をまぶした状態
磨かれる前のカップ。磨く事で、銀の光沢が出ます。
漆蒔上絵技法
漆を使って器に絵の具をつける技法を「漆蒔上絵技法」と言います。漆蒔上絵はとても多くの工程があり、手間と時間が非常に掛かります。期間にして大よそ1ヵ月〜1ヶ月半掛かり、天候にも左右されやすくなっています。多くの手間は掛かりますが、発色鮮やかな独特の色を表現する事ができます。